エクセルの基本的な使い方

概要

  • 表計算ソフトのエクセルを使います。このソフトは計算や情報管理など、多様な目的で多くの職場で使われています。授業では課題③~⑦まで様々なことをするので、確実に使い方を身につけてください。
  • 課題③では、入力・編集の切り替え、セルの外見と中身の違い、計算式の基本ルールなどを身につけます。以下を読みながら、画面写真と同じように入力し、この通りに操作できることを確認してください。なお、入力する際は、画面写真と同じ場所(同じセル)に入力してください。
  • このページで練習することのうち、課題として提出してもらうのは「パン屋の利益計算表」です。

基本項目

  • エクセルを起動すると、下のような画面が表示されます。今回は新しくファイルを作るので、「空白のブック」をクリックします。

  • ブックを開くと、下のような画面が表示されます。
  • Wordと同様に、大きな機能ごとに「タブ」があり、「タブ」の中に類似の機能をまとめた「リボン」があります。

項目 意味・役割
セル 一つ一つのマスをセルと呼び、このセルがエクセルの基本単位となる。
アクティブセル 現在選択しているセルは太線で囲まれる。
セル番号 現在選択しているセルの番号が表示される。
シート エクセルのファイルには複数のシート(表)があり、ここでシートを切り替える。右側の「+」ボタンをクリックすれば、シートを追加できる。
数式バー 選択したセルのデータや数式が表示される。
ステータスバー 作業状態や説明などが表示される。
フィルハンドル ここをドラッグすれば自動的にセルを入力したりできる。

データの入力・編集

  • シートは無数のセルからできていて、好きなセルに入力できます。一つのシートに複数の表やグラフを混在させることもできます。見やすい範囲で、どこに何を入力しても構いません。
  • マウスでセルを選択すると、そこがアクティブセルになり、画面左上にそのセル番号(アドレス)が表示されます。
  • Wordと最も異なるのは、「入力」モードと「編集」モードがあることです
    入力する際は、セルを選んで入力し、「enter」キーを押して確定します。数字を入力した場合は右寄せで表示され、文字を入力した場合は左寄せで表示されます。

  • 既に入力したものを修正する場合は「編集」モードに切り替える
  • 入力したデータを修正するには、複数の方法があります。
    ①対象のセルをダブルクリックする。
    ②対象のセルを選んで、「F2」キーを押す。
    ③対象のセルを選んで、数式バーをクリックする。
  • 「入力」モードの時は下の上側二つのようにステータスバーに「準備完了」か「入力」と表示され、「編集」モードの時は下側のように「編集」と表示されます。

  

  • エクセルの重要な点ですが、セルに見えているのは本当のデータとは限りません。
  • 例えば、下の画面をみると、アクティブセルである「B2」には「300」と表示されていますが、このセルの本当の中身は「数式バー」にある「=100+200」という数式です。エクセルはこの数式を自動的に計算し、その計算結果をセルに表示しています。
  • セルに表示されているのは計算結果であり、セルの中身はセルをクリックしたときに数式バーに表示されることを知っておきましょう

  • なお、規則性のあるデータは自分で全てを入力する必要はありません。「セルが1個下に行くと、数字が1増える」「セルが1個下に行くと、日付が1日進む」などの規則性をエクセルに分からせてやれば、「オートフィル」という機能で自動入力できます。
  • 下のように、アクティブセルの右下角には「ポチ」がついており、このポチを「フィルハンドル」といいます。

  • まず、最初のいくつかのセルだけにデータを入力し、それらを範囲選択します。範囲選択するには最初のセルで左ボタンを押したままマウスを動かし、最後のセルで左ボタンを放します。
  • フィルハンドルをドラッグ(左ボタンを押したままマウスを動かす)すると、下のようにエクセルが規則性を判断し、まだ入力していないセルに自動的に入力してくれます。

  • 入力したい最後のセルまでマウスを動かしたら、そこで左指を離します。すると、下のように自動で入力されます。
  • また、この機能は日付や曜日などの規則性のあるデータにも使えます。日付は「5/1」と半角で入力します。「5/2」「5/3」などいくつか入力して範囲選択し、オートフィルで処理します。曜日も同様に「月」「火」といくつか入力してから試しましょう。

作業の取り消し、データや書式の削除

  • 何かを間違えてやり直したいときや削除したいときは、複数の方法があります。

  • 作業の取り消し:作業を取り消すには、エクセル左上の「矢印」ボタンを使います。
  • データの削除:セルのデータを消したければ、そのセルをクリックするか範囲指定し「Delete」キーや「BackSpace」キーを押します。
  • エクセルでは各セルの「データ」と「書式」が別々に管理されています。「データ」は「Delete」キーなどで消せますが、色やフォントなどの「書式」はそれでは消せません。書式を消したい場合は、対象セルを範囲指定し「クリア」ボタンの「書式のクリア」を使います。

データ入力の練習と表の作成

  • ここからは例として、パン屋さんの利益表を作ってみます。ここまでに練習したものは不要なので、全て削除してください。入力したデータも書式も消しておきます。
  • まずは下の通りにデータを入力してください。計算式ではセル番号が重要になるので、画面写真と全く同じ位置に入力してください。

  • 次に、表らしく見えるように枠線を引きましょう。
  • ここでは表全体に線を引くので、①まずは表全体を選択します。表の一番左上のセルで左クリックしたまま指を離さずに、マウスを一番右下のセルまで動かし、そこで指を離します。
  • セルを選択したら、②「フォント」リボンの「罫線」をクリックします。線の種類を選択できるので、ここでは「格子」を選びます。

  • 次に、表全体に外枠を付けましょう。「太い外枠」を選びます。

  • さらに表を整えていきます。
    表の1行目は項目を示すので、配置を変えたり、背景色を付けたりして目立たせます。
  • まず、①行を選択(ウィンドウ左端にある行番号をクリック)し、次に②「配置」リボンの「中央揃え」をクリックします。「中央揃え」を選ぶと、各セルの中で文字や数字が中央に配置されます。

  • 次に、項目に背景色を付けましょう。
    まず、背景色を付けるセルを選択します。ここではB2セルからF2セルを選択し、「フォント」リボンの「塗りつぶしの色」を選びます。▽ボタンで多くの色を選べます。

  • さらにパンの名前も見やすくしましょう。商品名は自動的に左寄せで配置されているので、中央揃えにします。B3セルからB6セルを選択し、「配置」リボンの「中央揃え」を選びます。

  • さて、B4セルやE2セルの文字が、セルの枠からはみ出しています。このようなときは、列の幅や行の高さを変えます。
  • まずは、①B列からF列を選択します。セルを選択するのと同様に、アルファベットの部分を範囲選択すると、列を丸ごと選択できます。
  • そして、②書式ボタンの「列の幅の自動調整」をクリックします。

  • 以上の作業をすると、下のように表らしくなりました。

計算式を使う

  • エクセルは様々な計算をさせるためのソフトなので、計算式をうまく使える必要があります。その際、人間の言葉で表現された式を、エクセルが理解できる式に表現し直す必要があります。
  • 重要なのは、以下のことです。
     ①計算式は全て半角文字で入力する。
     ②計算式の先頭は「=」で始める。
     ③データが入っている場所をセル番号で表現する。
     ④人間が使う掛け算、割り算の記号は、それぞれ「*」「/」を使う。
  • まずは、食パンの利益を考えます。人間の言葉では、 利益は「(定価-原価)× 販売量」で計算されます。
  • 食パンならば、「食パンの利益=(食パンの定価-食パンの原価)×食パンの販売量」です。
  • では、エクセルが理解できる式に表現し直します。定価、原価、販売量はどのセルにあるかを考えましょう。
  • 今、食パンの定価はC3セルに、原価はD3セルに、販売量はE3セルにあります。食パンの式をこのセル番号に置き換えてみます。
  • 食パンの利益=(C3-D3)× E3

  • このように、エクセルの計算式は、データが入っているセルのアドレスで表現します
  • この計算式を該当するセル(F3)に入力します。
  • 計算式を入力するときは、漢字モードを終了し半角モードにします。そして、計算式の先頭は「=(イコール)」で始めます。なお、数学の「×(かける)」は、パソコンでは「*(アスタリスク)」という記号になり、「÷(わる)」は、「/ (スラッシュ)」という記号になります。
  • 以上より、F3セルをクリックして「=(C3-D3)*E3」と入力します。

  • 計算式を入力して「enter」キーを押すと、F3セルに1600円という計算結果が表示されました。

  • では次に、クリームパンの計算式を、別の便利な方法で入力します。
    F4のクリームパンの計算式は「=(C4-D4)*E4」です。
    答えを表示させたいF4セルをクリックし、最初の文字「=(」を入力します。

  • そして、「C4」の入力にはキーボードを使わずに、マウスでC4セルをクリックします。すると、数式バーに「C4」が入力されました。
  • このように、セル番号はセルをクリックして入力し、記号だけキーボードで入力することで、入力ミスを減らせます。

  • 続きもセル番号はクリック、記号はキーボードから入力し、「Enter」キーを押して確定させます。

  • では、カレーパンとあんパンの利益も計算しましょう。
  • エクセルにはさらに便利な機能があります。一つ一つ計算式を入力する必要はなく、フィルハンドルでまとめて片付けることができます。
  • 下のようにF4セルを選択すると、そのセルの右下角にフィルハンドルが現れます。これを左ボタンで押したまま、最後のセル(今ならF6)までマウスを動かし、そこで手を離します。

  • すると下のようにF5~F6までの利益が自動的に計算されました。
    なお、オートフィルを使うと、緑線部分のように「オートフィルオプション」というのが現れますが、これは通常は無視していいです。

  • さて、確認のためにF6セルをクリックしてみましょう。
  • F6セルに表示されているのは「640」という計算結果ですが、数式バーに表示されているのは「=(C6-D6)*E6」という計算式です。
  • エクセルで気をつけて欲しいのは、セルには計算結果が表示されているがそれは見せかけで、本当のセルの内容は数式バーを見ないと分からないということです。

シートに名前を付ける

  • エクセルのシートには名前があり、画面の左下の方に表示されています。新しいファイルを使っている場合は、下のように「sheet1」という名前です。このシート名をダブルクリックすると、名前を変えることができます。

  • この授業で使うシートでは、課題学習の番号を名前にしてください。また、同じ授業コマで複数のシートを作る場合は、番号の右に数字を付け、順番が分かるようにします。
  • 例えば、今回の授業は「課題学習③」で今日は2枚のシートを作るので、このパンの計算シートの名前は「3-1」としてください。

まとめ

  • エクセルには入力モードと編集モードがある。通常は入力モードになっていて、セルは上書きされる。セルを修正するには編集モードに切り替える必要があり、セルをダブルクリックするか、F2キーを押すか、数式バーを使う。
  • セルの外見と中身は異なる。セルに表示されているのは計算結果であり、セルの中身はそれを求めるための計算式である。セルを選んで編集モードに切り替えると、そのセルの計算式を見ることができる
  • 各セルにはまずデータ(数字や計算式や単語)があり、必要に応じてそのセルに使う書式(色やフォントなど)も設定する。データを消すときには「BackSpace」や「Delete」キーを使う。書式を消すにはメニューの「クリア」ボタン(または消しゴムボタン)を使う。
  • 計算式のルールを理解しましょう。
     ①計算式は全て半角文字で入力する。
     ②計算式の先頭は「=」で始める。
     ③データが入っている場所をセル番号で表現する。
     ④人間が使う掛け算、割り算の記号は、それぞれコンピュータでは「*」「/」を使う。

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